親元を離れている高2の長女がふらっと帰ってきた。

高2の長女がふらっと帰ってきた。

「枝毛が気になって、土曜日、髪を切りに行く」と言い出した。

日曜日にテストがあるのに、「次に受ける」と言って帰ってきた。

親としては、何かあったんじゃないか?と心配したけど、

「別に何でもない、いじめられてもない」

「ちょっと帰りたくなっただけ」って。

土曜日、バスで4時間かけて帰ってきた。長女は予定通り髪を切りに地元の美容室へ行った。

その日の夜、家族6人、みんなでご飯を食べた。

長女は「お母さんおいしい」と言ってごはんをおかわりした。「寮じゃ、コロナでコンビニの弁当が多いんよ」と言っていた。

次の日、バスはしんどいだろうと、私が寮まで車で送って行った。

車の中で長女がこう言い出した。

長女「私ね。時間は止まるんじゃないかって思ってた」

父「え?!時間は止まらんよ~」

長女「ずっと前から思いよったんで」

父「いつから?」

長女「保育園の頃から」

父「え!!なんでそう思ったの?」

長女「だって、時間って流れるものでしょう。だから止まるんじゃないかって」

父「・・・・・・」

長女「けど、時間は止まってくれないの。小学校の朝の登校班でね、あ、止まらないんだって思った。」

私は、何て答えていいか、わからなかった。とっさに

父「そっか・・・。瑞々しいね。」と長女の期待に応えられない?ヘンな言葉しが出てこなかった。

その後も、長女はスマホを見ながら、いろいろ喋ってくれた。学校のこと、クラスの女子のこと、部活のこと、勉強のこと・・・。

寮に着いて、玄関の階段を上る際、重い荷物を持ってあげた。リュックには、私が見てもさっぱり理解できない物理や英語の分厚い参考書がぎっしり入っていた。

別れ際に、「勉強、頑張って」と言って、「ああ、しまった!また言ってしまった」と後悔した。もう何十回、何百回も小さい頃から「勉強、頑張れ!」って言ってきた。

長女は一人で十分、必死に頑張っているのに・・・。

最後に「無理するな」「ちゃんと食べて、寝んといけんよ」と言うと

長女は軽く頷いて手を振ってくれた。

長女の会話に、気の利いたアドバイスもできず、参考書を見ても答えなんて教えてあげることもできず、何かの力にもなれず、ただただ「うん。うん。」と気のない返事しかできず・・・。

私は、「大きくなった娘に、悩み事があったかもしれない娘に、何かしてあげれたかな?何もしてあげられなかったな」と自問自答しながら、何とも言えない気持ちになった。

長女よ。お父さん、無力でごめんね。またいつでも帰ってきていいよ。

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